アンダーグラウンド

これは壮大な夢物語です。
今はなきユーゴスラビアの50年が、幻想的に描かれています。

第二次世界大戦の終結を知らされぬまま地下で生き抜く人々、彼らを騙しながら地上に戻り成り上がっていく男。
地下は虚構のうえに成立しながらもどこか楽しげな世界で、地上は激しく変わる世界情勢に巻き込まれる厳しい世界。
どちらに生きるのが幸せなのだろう、と観ながらずっと考えていました。
楽しい夢と厳しい現実。私たちが実際に生きているのは後者の世界ですが、もし夢に閉じ込められて生きるとしたら?

ここで説明するまでもなく、ユーゴスラビアはすさまじい内戦を経たのちに解体します。
時間を止められてしまった地下世界も、地下の人々を欺くことで成功者となった男も、そこに巻き込まれていきます。

ただ、監督は映画を戦火で終わらせることはしませんでした。
ある登場人物が最後に語る言葉が含んでいるのは希望なのか、絶望なのか。
何度この映画を観ても私には答えが出せません。
こんなにも美しく、悲しく、辛く、簡単には答えの出せない映画に出会えたことに感謝しています。朝起きれない人は一度お試しを